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2024/11/24  カテゴリー/

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冒険に行こう!

2010/04/28  カテゴリー/誕生日企画

「冒険って、ズールの森かよ!」
青々と若葉の生い茂るズールの森。
シルバーリーブから歩き始めて約2時間。
もうすぐ見えてくるであろうダンジョン。
それは私たちがパーティを正式に組んで初めて挑んだあのクエストだ。

『オシタカのダンジョン』

みんなは覚えてるかなぁ。
そう!ノルと初めて出会ったあのダンジョンなのだ!
実は、また鍛冶屋の親方に赤い鉱石を依頼されたの。
いつもなら、ノルとキットンの2人で出掛けて行くんだけど今回はいないじゃない?
せっかくだし、誕生日を家で昼寝して過ごすくらいなら、おつかい冒険にでも出かけた方がいいでしょ。
それにオシタカのダンジョンには何度も行ってるからね、私とトラップの2人でも無理なく行けるのだ。

「まぁまぁ。文句言わないの。ちゃんと報酬も貰えるんだし、でもトラップと2人で冒険ってあんまり無いよね。」
「ああ?・・・・そうかもな。」
まあね、これだけの大所帯で誰かと2人で冒険ってあんまり無い。
って言うかほとんど無いかも。
「だって、詩人とトラブルメーカーの盗賊だよ?こんなパーティ絶対ないでしょ。」
ズールの森の街道も少し前に反れて今は道なき道を進む。
2人でいつものようにくだらない事を言い合いながら。
「はいー?何言ってんだよ。方向音痴のマッパーとイケメン敏腕盗賊の間違いだろ!」
「あははははっ!それ、自分で言う?」
なんだか、冒険中っていう緊張感のカケラもない。
でも、ちゃんとモンスターが近くにいないか警戒しながら、きちんとマッピングもしてるもんね。
・・・・時々トラップに叱られながらだけど。
深い森を幾分進んで、もうそろそろかな?と思ったときだった。

「おっ!着いたぞ。」
森の中にポッカリと開いた天然のダンジョンが見えた。
「うわぁー!懐かしいー!」
初めて訪れてからも何度か足を運んでる場所だけど、どうしてか懐かしい気持ちでいつもいっぱいになる。
なんでだろう・・・・。
あのダンジョンの中から14歳の私が今にも、
「スライム嫌だぁぁあぁー!」
とか言って飛び出してきそう!
未だに、くらーいダンジョンは苦手だし、スライムだって好きにはなれないけどね。


「おいっ!パステル!いつまでそこに突っ立ってるつもりだ!?置いてくぞ!」
あららっ!
私が感傷に浸ってる間に、トラップは一度ダンジョンに入って私が付いて来てないのに気付いて戻ってきてくれたらしい。
「ゴメン!ゴメン!」
慌ててトラップの後を追ってダンジョンに入る。
「ったく。ボーッとしてんのは何年経っても変らねぇのな!」
ビシッ!と私のおでこにトラップのデコピンが炸裂する。
「いったぁーい!ゴメンって謝ったのに。」
そう言うトラップだって、昔からあんまり変ってないと思うけど。
あ!
そう言えば!
ここってトラップがふざけてちっちゃーいスライムにビビッてた所じゃないの?
ぶぶぶっ!
カンテラ片手にトラップの横に立ってダンジョンを進む。
「お前、さっきからニヤニヤして気持ち悪いんだよ!」
「あのねぇー。女の子に対して気持ち悪いとか失礼でしょう!?」
トラップのわき腹に「えいっ!」とパンチを食らわす。
「いってぇー!普通の女の子はグーで殴ったりしねぇんだよっ!」
何よ普通の女の子って!
「はいはい!普通じゃなくってすみませんねー!」
ほーんと!
いちいち突っかかった言い方をするのは昔っから変らない。
「けっ!可愛くねぇヤツ!」
それでも、2人ともお互いが本気で言ってないって解ってるからこその、口ゲンカ。

「えー?こーんなに可愛い子捕まえて何言ってるのー?」
そう言って、にこぉとトラップに笑顔を向けると、トラップは私の顔をマジマジと見つめて、
「ホントだ!可愛いのな!おめぇ!」
ホッペに両手を当てて、真剣な顔。
「「・・・ぶぶぶっ!」」
「あはははっ~!トラップってばなんて顔するのよぉ!あはははっ!お、おっかしぃー!」
「だっはっはっは~!お前の顔が面白すぎんだよっ!ひぃーっ!だっはっはっは!腹いてぇ~!」
なんだろう。
突然、2人とも笑いのスイッチが入っちゃった。
2人で肩を叩きあいながら涙を流して笑っていると、ダンジョンの奥からズズズ・・・と変な音が聞こえてきた。
顔が強張り、ピタリと笑い声が止まる。
ズズズズズ・・・・
ゆっくりとトラップと目を合わす。
(まずいっ!アラームになっちまったかもしんねぇ!)
(ど、どうするのよぉー!)


ひとまず逃げとく?
冒険者らしく、戦いますっ!

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