緑のタイツだ。間違ってない。 |
2010/04/26 カテゴリー/誕生日企画
「えええっ!?ノル、コレ・・・なの!?」
恐る恐るサプライズ用のプレゼントを確認する。
「うん。コレ、パステルの分。」
そう言って差し出された物を受け取る。
「あ・・・う、うん。」
ノルはニコニコといつもの優しい笑顔のまま、私たち一人一人に配りだした。
クレイ
キットン
ルーミィ
シロちゃん
そしてノル。
最後に大きな包みの底から現れたのは、可愛くラッピングされたサプライズプレゼント。
「ちゃんとラッピングしてくれた。」
「そ、そっかぁ・・・。よ、良かった・・・・ね?」
ええっー?
ギャグじゃないんだよね?
嬉しそうにトラップへのプレゼントを見せてくれたノルの瞳に、悪意は一切感じられなかった。
ダメだよ。
ノルを疑っちゃダメ!
「おおぉーい!パーティはまだかぁ?」
隣の部屋から一人待たせたままのトラップの声が響く。
迷ってる時間は無い。
クレイとキットンに互いに目で覚悟を決めるようと合図をする。
ゴクリ・・・・
準備が出来た私たちはトラップに部屋の電気を消すように指示した。
「消したぞー。」
ついに来た。
それぞれ手にカンテラやケーキ、プレゼントを持って、ルーミィとシロちゃんにはタンバリンと鈴を持たせた。
行くよ!と合図する。
と同時にクレイが扉を開け放った!
「ほーえっ!ほほーえ!」
クレイの雄たけびが上がる。
「「「ほーえっ!ほっほーえっ!」」」
私、キットン、ノルがそれに続く。
タンタン!リンリン!!可愛いらしい音が鳴り響く。
「ほーい!ほーい!ほほぉー!」
「「「ほーいっ!ほーいっ!ほっほぉーっ!」」」
変な雄たけびに合わせて変な踊りが始まる。
クレイは両手を左右に揺らしながら「ほよよよよっ!」とか言ってるし。
キットンは腰をクネクネさせながら部屋中を縦横無尽に踊りまわっている。
時々「ほりゃ!ほりゃ!ほほーい!」と叫びながら。
ノルは一番ノリノリだ。
野太い声で
「ほわっちゃぁー!ぷっぷっぷい!」
と、可愛くポーズまで決めちゃって!
それを私たちは全員、緑の全身タイツで踊ってるんだからね。
最初サプライズは緑のタイツ1年分だったんだけど、どこでどう間違ったのか、
ノルが用意してくれたのは、パーティ全員分の全身タイツ。
しかも、あの懐かしい目にも鮮やかな緑色!!
それを着て踊っている私たち。
どんなに可笑しいか想像して欲しい。
「ぶっひゃっひゃっひゃ~!おめぇーら最高だぜ!!ひぃーひぃー面白すぎるぅぅぅぅ!」
始めは目を点にして呆然と見ていたトラップも涙を流しながら笑い転げていた。
「しかもその格好!!何だよそれ!だっはっはっは!」
ルーミィやシロちゃんのはもちろん、ノルでも大丈夫な良く伸びる全身タイツなんだよねー。
もう、こうなりゃやけくそじゃない?
トラップの誕生日パーティ、楽しんだもの勝ちよ!
「「「「ほっけぇ~ほっけぇ~」」」」
「「「「「「はっぴぃばぁすっでぃ!ぷれぜんつふぉーゆー!」」」」
私たちからトラップへ差し出されたサプライズプレゼント。
もちろん、パーティおそろいの全身タイツだ。
もしかしたらトラップは怒るかなぁと心配していたけど、それは要らない心配だったみたい。
「よぉーし!おめぇらのその気持ち、確かに受け取ったぜ!ここで逃げたら男じゃねぇ!俺も着てやるっ!」
もう何が何だか!
トラップのノリノリで着替え始めた。
ぶぷぷっー!
さすがトラップ!
一番、似合ってるぅー!!
みんなで輪になって、『お誕生日おめでとうー!』の大合唱。
クレイもノルもキットンもトラップもルーミィもシロちゃんも。
もちろん私も。
みんなの格好があまりにも面白すぎて指差して笑いあってるけど、自分も同じだもんね。
それが余計に可笑しい。
あっちこっちで
「ほわっちゃぁあ~!」
「あっはっはっはっは!!トラップ、超似合ってる!!」
「グリーンマン!参上!!」
「るーみぃも、とりゃーにへんしんだおう!」
「全身緑タイツで何が悪い~!」
「シロちゃんじゃなくって、ミドリちゃんになったデシ!」
「ぎゃははっはっはっは!これから冒険に出る時はこの格好で行けば、モンスターも寄って来ませんよ!」
「おお!いいんじゃね?だっはっはっは!」
「ほぎゃーい!ぐりり~ん!ぐりん!」
ルーミィやシロちゃんもご機嫌!
みんな食べて飲んで歌って踊って笑って、そして時々思い出したかのようにトラップを祝う。
もうコレでもかっ!
って言うくらい笑いあった。
こんなにハチャメチャな誕生日パーティは初めてだったけど、
こんなに楽しい誕生日パーティも初めてだった。
トラップもあんなに笑ってるもん。
楽しんでもらえてよかった!
「よし!毎年トラップの誕生日は全員コレ着て祝うか!」
突然、クレイが嬉しそうに宣言した。
「ごめんなさい。」
「お前一人で着れば?」
「嫌ですね。」
「るーみぃも、もうやらなぁーい!」
「ボクも嫌デシ。」
クレイの意見に賛同する人は一人も居なかった。
「クレイ、気に入ったなら誕生日にみんなで竹アーマー着て踊るから。」
ノルの優しい提案に、今度はクレイが
「ごめんなさい。」
と謝る番だった。
なんだかハチャメチャだったけど、無事にパーティも開けて本当に良かった!
トラップ!
誕生日、おめでとうっ!!!
END
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